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「ったく。昔っからアンタは塩対応だよね。そっけない」
「悪いかよ。っていうか、こんな話を知ってるか。むかし、塩をバカにした殿様がいたんだ。なので料理人はその殿様に塩を抜いた焼き魚を出した。すると殿様はまったく魚の美味しさを感じることができず、塩の重要性を思い知ったのだという」
「ふ~~ん。……で、オチは?」
「……………………」
「オチは?」
「いや、もうオチてて、つまり塩対応もバカにしたモンじゃないんだぞって……」
「え? つまんないんだけど。しかもよく解らないし。……だから、もう一回チャレンジで」
マジか。
「……えっと、つまり、……塩がないなら、醤油があるじゃない。だったら、焼き魚よりお寿司を食べればいいじゃないという……」
「あ、お寿司なら食べたいッ、食べたいッ。ゴチになりまぁすッ」
「おごりませんッ。苦学生にたかるんじゃないよ、社会人だろッ」
ムスッとする僕に対して、静夏はケラケラととても愉快そうだ。
どうして僕は、こんなに手厚く塩対応してあげてるんだろうと思う。
僕が塩対応だというのなら、きっとこの幼馴染はコッテリとした味噌対応なのだ。
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