25人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
「そういや、静夏も特別講習あるんだっけ?」
一連の塩対応を終えて、一息つきながら、僕は尋ねる。
すると、静夏に、
「ああ。それもあるんだけど、雑務が溜まっててさ。女子バスケ部の顧問もやってるから、そっちも見ないといけないし。まあ、非常勤のアンタと違っていろいろ大変なのよ、私はね」
フフンと鼻を鳴らしながら得意気に言われた。
コッテリとした嫌味。
出た。味噌対応。
ちょっと頭に来たので、言い返してやろうかとも思ったが、静夏がカバンから出した資料の多さを見て、それは思いとどまった。
確かに大変そうだ。
それに僕も大変なのだった。
もう、講義開始まで時間もない。
慌てて予習に戻ろうとした時だ。
「在」
名を呼ばれてみれば、静夏はそれまでの朗らかな様子がウソのように、真顔で僕を見ていた。
ヒリヒリとした空気が見える。
最初のコメントを投稿しよう!