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「私達は教師です。教師はどんな生徒にも公平でなくてはいけませんよ」
校長は言った。
「それは、どういう意味ですか?」
「証拠はあるんですかと、そういうことです。あるんですか?」
「それは……」
「ないんですね。だったら無視されているというのはアナタの主観です。その一人の生徒に加担し過ぎなんじゃないですか? その一人が自分から他の生徒と距離を取っているだけかもしれないし、もしくは他の生徒達に相応の理由があって、それが無視に見えてるのかもしれませんよ」
そう言って、校長は静夏を睨みつけた。
それから、
「戻りなさい。こういう件は、とにかく公平に全体を見なければいけませんよ」
と。
丁寧な口調だが、まるで静夏を叱りつけるような風だった。
そうやって逃げるんですか。
その言葉が喉元まで出かけていた。
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