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早いもので、気がつけば、あれからもう2か月以上も経過している。
2カ月の間、ずっと観察してきたが、やはりイジメはある。
どう公平に見てもあるものは、ある。
何か打つ手はないものかと一人で思案し続けた。
結果として、ただ、苛立ちだけが加速していったのである。
悔しかった。
イジメも。学校も。
そして、何も言い返せなかった自分自身も。
静夏は零れそうになる溜息を、歯を食い縛ってこらえた。
そうして静夏が階段の手前まできた、その時だ。
ふとゴンというハンマーが振り下ろされたかのような鈍い音がした。
そして静夏の視界の端っこに、小柄な少女の姿が飛び込んできたのである。
長い黒髪を靡かせ、大きな目の特徴的な、目の覚めるような美少女の姿。
山田水無瀬。
静夏の受け持つクラスの生徒であり、そして彼女こそがイジメの被害者なのである。
そんな彼女が不意に静夏の前に飛び出してきた。
それは人形のように階段を転げ落ちながら……。
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