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「……はっきりと一般の人間が悪魔を目撃しているという点は、今回と同じか……」
僕は資料に向けて独り言つ。
そこに、
「ふむ。目の付けどころは良いのだがね。しかし、そのケースは今回の事件には当てはまらんのだよ」
と、芥川助手が言葉を放り込んできた。
見れば、そのとなりで忍が泣きながら土下座をして謝っている。
どういう経緯かは知らないが『ギョロたん』が勝ったらしいとは理解した。
「当てはまらないって、どういうことです?」
「そのケースの答はすでに出ているのだけれどもね。それは、つまり霊体離脱だ」
「霊体離脱? ですか?」
霊体離脱。
俗に言う幽体離脱というモノである。
意識がもうろうとする催眠状態に起きる現象で、霊体の位置と肉体の位置を、意識が勘違いすることで起きる現象だ。
つまり、催眠状態で、本当は寝ているのに空を飛んでいる気分になってしまうとする。
すると肉体は寝たままなのに、霊体だけが分離して空想の中の空の位置へと移動してしまう、そういう現象である。
けれど、それが悪魔召喚とどう繋がるのか?
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