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*2018/08/02 20:00 スーパーマーケット『ポロロッカ』*
半年前の事件の話をしよう。
と、まずは自己紹介から。
僕の名前は左藤在という。
将来、霊子力学の教授になることを夢見る、彼女いない歴=年齢の26歳だ。
大学学部生時代は文学部で西洋史学専攻だったのだが、その途中で霊子力学に出会い、すぐに虜になった。
以来、その魅力に取り憑かれてしまっている。
なので夢を叶えるために、大学院博士課程の学生として、神薙大学の鴉谷霊子研究室に在籍しているのだけれど……。
しかしその夢がなかなかに重たい。
教授と一口に言うのは簡単だけれど、そこに至る道はとにかく果てしない。
まずは大学に準教授として採用してもらわなければいけないのだが、その基準はシンプルにそれまで書いた論文の数と評価によるものだ。学会で論文をたくさん発表し、その幾つかに、雑誌掲載といった高い評価を貰わなければならないのだけれど、これが本当に難しい。
博士課程の学生として、もしくは研究生として研究を繰り返すしかない。
お金を貰って研究するためには、とにかく大学にお金を払って研究を続けるしかないのである。そしてもちろん、大学に通うお金も時間も無限ではないから、とにかく結果に拘って密度の濃い研究をしなくてはならない。
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