*2019/04/08 11:10 神薙大学記念講堂*

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*2019/04/08 11:10 神薙大学記念講堂*

研究室に向かおうとする途中、『入学式』の看板にふらふらと引き寄せられた。 そりゃ僕はもう入学式なんて歳ではないのだけれど、疲れることがルーティーンになっている脳味噌には、フレッシュな空気が刺激になる。 気のせいといえばそれまでだけれど、暗示的にでもなんでも、少しでも凝り固まった頭が柔らかくなって、研究がスムーズにいくのならそれも良い。 それで反対方向とは知りつつも、なんとなしに記念講堂の方へと向かってみた。 講堂が近くなると、潮の匂いをまとった清々しい春風が、サッと身体をすり抜ける。 空が近い。 講堂の前に伸びる路の両脇は芝生の庭園になっていて、周囲に高いモノは何一つない。加えて神薙大学のキャンバスは丘のてっぺんの敷地にある。 それだけに空を見上げる視界を邪魔するモノは何もない。 それは雲一つない青空で……。 まったく今日は入学式にはうってつけの天気だなと、僕は大きく深呼吸をした。
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