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*2018/07/12 17:38 神薙学院高校*
これはちょっとだけ時間を遡った、住吉静夏の記憶の話だ。
教室を出て職員室へと向かう途中のこと。
床のフローリングを蹴りつける足音は稲妻のように激しい。
静夏はひどくイライラとしていた。
だから普段は心で溜息を吐くくらいで見逃すであろう、廊下を走る生徒を必要以上に叱ってしまったのも、つまりはそういうことだったのである。
苛立ちの原因は静夏自身も良く解っていた。
彼女のクラスで起こっているイジメのこと。
そしてそれを理解しながら、だんまりを決め込む学校の運営陣の在り方だ。
「イジメの可能性があります。一人の生徒が大勢の生徒から無視されているんです。大事になる前に対策を打つべきです」
イジメを知った時、静夏はそう言って校長に詰め寄った。
その時の校長の顔を、静夏は忘れることができない。
校長は禿頭を真っ赤にしながら、怒りを顕わにしてガマガエルのような顔を歪ませていたのである。
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