当たり屋

5/5
前へ
/5ページ
次へ
俺は、悪い考えが次から次へと浮かんできた。 「お母さん、首が痛すぎるんで、何処かで休みませんか?」 「えっ?休むって?」 「ほら、高速のインターのところにホテルがあるでしょう。そこに入りませんか?」 お金は何時だって当たり屋をやってれば稼げる事が出来るが、こんな美人は勿体ないぞ。 「でも、病院は行かないのですか?」 「ええ。ホテルで休めば大丈夫かもしれません。それに息子さんだって、俺の病院代がかかれば可哀想でしょう。息子さんの為ですよ」 「解りました。休めば病院は行かなくてもいいのですね。でも私ホテルなんて行った事がないので、どう行ったら良いのか?」 「じゃあ、運転代わりますよ」 そうして俺は運転席に乗り込んで、車を運転した。お母さんのシャンプーの匂いが心地良い。夢を見ている気分でホテルの門をくぐろうとする。 あっ! キキキー。 ドスン。 やばい。 車の前に傘さし運転の自転車が飛び出してきた。避けきる事が出来なくてぶつかってしまった。 ああ・・・ コンコン。車のドアを叩く音が聞こえる。 「運転手さん、運転手さん、救急車呼んでもらえます?」 男子高校生の言葉が頭に響く。 「逃げ出そうとしても無駄ですよ。僕、ナンバー覚えましたし、お父さん、林組の組長なんです」 えっ、それは大変だ。 だから、傘さし運転は危ないって言っているのに!。 終わり
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

40人が本棚に入れています
本棚に追加