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俺は、悪い考えが次から次へと浮かんできた。
「お母さん、首が痛すぎるんで、何処かで休みませんか?」
「えっ?休むって?」
「ほら、高速のインターのところにホテルがあるでしょう。そこに入りませんか?」
お金は何時だって当たり屋をやってれば稼げる事が出来るが、こんな美人は勿体ないぞ。
「でも、病院は行かないのですか?」
「ええ。ホテルで休めば大丈夫かもしれません。それに息子さんだって、俺の病院代がかかれば可哀想でしょう。息子さんの為ですよ」
「解りました。休めば病院は行かなくてもいいのですね。でも私ホテルなんて行った事がないので、どう行ったら良いのか?」
「じゃあ、運転代わりますよ」
そうして俺は運転席に乗り込んで、車を運転した。お母さんのシャンプーの匂いが心地良い。夢を見ている気分でホテルの門をくぐろうとする。
あっ!
キキキー。
ドスン。
やばい。
車の前に傘さし運転の自転車が飛び出してきた。避けきる事が出来なくてぶつかってしまった。
ああ・・・
コンコン。車のドアを叩く音が聞こえる。
「運転手さん、運転手さん、救急車呼んでもらえます?」
男子高校生の言葉が頭に響く。
「逃げ出そうとしても無駄ですよ。僕、ナンバー覚えましたし、お父さん、林組の組長なんです」
えっ、それは大変だ。
だから、傘さし運転は危ないって言っているのに!。
終わり
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