━━━第二夜

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…………服を脱ぐと ……なにが出来る……? 「馬鹿かっ!」 全力で上半身をやっと起こすと、俺の服装もいつの間にか洋服から、真っ白な着物に変わっていることにやっと気付いた。 死に装束か? 上がる心拍数。 少しでも落ち着こうと、時計を見ようと右腕を上げた。と、同時に『時計……みさをに取られたんだった……』 と、思った…のだが。 ―――――ちゃらり…… 「!」 時計はない。 それは思い出した。 だから、何もない時計があった場所には。 「く……鎖……?」 ―――眩暈が、した。 幅の広い手枷と、そこから室外に向かって長く長く伸びる、鈍い銀色の、鎖があった。不思議と冷たさや重さは皆無で、とりあえず軽く引いてみるが畳に流れる鎖が少し揺れた程度だった。 「おい……これ、ってだから!」 「なに?」 バサリと赤い着物が落ちて落ちた瞬間に起こった風に、舞い込んでいた桜が舞い踊る。 「あのね、淳真様……私、初めてだったから、痛くしちゃったかもしれなくて」 「………………」 襦袢というのだろうか?薄い着物だけになった月緒は、とすんと俺と正面向いて間近に座りそう言う。 ……それは、どちらかと言えば、男から、女への言葉では?頭の中に『?』が浮かび上がって、黙っていると ―――がつっ!! 「いたい……」 「こっちの、台詞だ!!」 勢いよく顔が近付いて、唇と歯に大打撃を受けた。月緒も相当な衝撃だったらしく、身を離した瞬間に 「それ以上、香りも出すな、動きもするな」 とすん、と入らない力を振り絞って押し返す。 すると、ちくり……と首の左側が痒みを訴えて、人差し指を這わせ爪を立てた。 カリカリと。 ごくりと喉を鳴らせば、鉄の味が広がって、どこか切れたのだと気付いた。 「だめっ!まだダメだよっ」 「動くな……痛ッ!」
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