6人が本棚に入れています
本棚に追加
#1京北ガール
私は京都の京北に住む
女子高生
山田美紀
なんと言ってもゲームが好きです
RPGや狩ゲーとか
でも、ウチはゲームは1日1時間までというクレイジーな決まりがあるのだ
いやー、まいるわ
1時間とか2クエストいって終わりじゃん
マジで、おわ、オワ、終わ
京北田舎だし、やることないんですよ
「ちょっと、みき!ゲームしすぎよ!」
洗濯かごを運ぶ母から指摘された
「そんなことないってー、今始めたばっかだよ」
「嘘おっしゃい、ほら、家の中にずっとこもってないで、外であそんできたら?」
「外ぉ~…」
外はセミが合唱コンクールをしており、日照りがカンカンだった
「外で何すんのさぁー、セミとりでもしろっての?」
「ええ、セミでもとってらっしゃいよ」
母は洗濯物を干しながら言った
女子高生がセミとりなんかできるか!
と思っていたら裾を捕まれた
弟の貴一、小学4年生
「セミとりいく?」
弟が目をキラキラさせながら私に問うた
弟よ、そんな目で見るな、見ないでくれ
「行ってきなさいよ美紀、ずっーとゴロゴロしてたらコケ生えるわよ」
生えたらすげぇよ
弟がいたいけな瞳で見てくる
「わかった、わかった、行くよ」
弟は嬉しそうに跳び跳ねた
そんな姿を見て、少し頬が緩むが
カン照りの外を見て、また顔が歪む
くっ…
「逝くか…」
私は虫網を握り締めた
「弟よ、虫かごはもったな」
「うん、持った!」
くっそ、キラキラしやがって
外はギラギラだぜチキショー
道場破りの如く、勢いよく玄関の扉を開けると、外の光が私を包んだ
暫く眩しくて、真っ白い光が拡がっていたが
段々と外の景色が目に入ってくる
日照りが強くどこもかしこも白っぽく見える、日光に熱せられたアスファルトはもはや鉄板化
ミミズの干からびた死体がポツポツ
少し先を見るとカゲロウができている
地獄かよ…
私は外の様子に驚愕し、夏の常備装備、麦わら帽子を装着した
弟は半袖、半パン、以上
こいつ、狂ってやがる
「貴一、そんな装備で大丈夫か?」
「大丈夫、大丈夫」
最強かよ…
私は胃を決して玄関から外の世界へ足を踏み出した
「私の戦いはこれからだ!」
最初のコメントを投稿しよう!