新入社員、藤堂ゆい

1/4
前へ
/19ページ
次へ

新入社員、藤堂ゆい

 今日も新人が配属される。  聞いた所によると、まだハタチそこらの女性だという。  最短記録が塗り替えられる日が来たと、私たちは大笑いをしながら、ラジオ体操をしている。  誰も期待など、していないのだ。  学が無い若者なのだろうか、今の世の中で生き抜くには学歴はとても重要だろう。  少なくともうちの会社ではそうに違いない。  ラジオ体操を終え、私はその女性を迎えに向かった。  食堂の入り口にいると聞いたので、そこに向かう。  その女性は会社のパンフレット、メモ帳などを両手に持ち、緊張した様子で立っていた。  可哀想に、今からくる部署がうちだなんて、知ったらショックを受けるだろう。  女性と目があった、声をかける。 「おはようございます。5班の教育係の佐々木と申します」 「おっ、おはようございます!!藤堂ゆいと申します!!今日からよろしくお願いしますっ」  とても元気な声の彼女だが、かなり緊張しているようだ。赤面し、前髪を仕切りに直している。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加