新入社員、藤堂ゆい

2/4
前へ
/19ページ
次へ
 彼女を連れて、部署へと向かう。  いきなりショックを与えないように、話しでもしておこうか。 「藤堂さんはまだ若いのに、うちの部署だなんて、嫌だろうねぇ。うちの部署は老人ばっかりの寂れた部署だから、まぁ、のんびりと力を抜いて楽に行きましょうね」  彼女は私の後ろを歩いていたが、急に早足になり、私と並ぶ。 「寂れてなんか、寂れてなんかいません!!」  あまりにも強い言葉に、私は目を丸くし、口があいてしまう。 「あ、ごめんなさい……」  藤堂ゆいはペコッとお辞儀をし、また私の後ろに回った。  今までにない反応に、私は返す言葉が見つからず、そのまま部署へと歩いた。  まさか好んでうちの部署を希望したのだろうか。  いやいや、それはないだろう。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加