第三章「奇妙な関係」

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ーー次の日、俺は学校に着くなり瑠衣へと詰め寄る。 「あれー、南。今日は眼鏡じゃないの?」 今日も明るい瑠衣、俺は彼女の肩を軽く掴み、できるだけ声をひそめた。 「あのさ、同じ学年の相川さんって知ってる?」 「相川さん?知ってるよ、確か一組じゃなかったっけ?」 「一組!?特進クラス!?」 瑠衣の言葉に、俺は思わず大声を上げる。声をひそめるのも忘れて、思いっきり驚いてしまった。 ウチの高校は、一学年が一組から六組まである。三から五までが普通科、六が情報処理科、そして一と二が特進科だ。 中でも一組は特に頭の良い限られた人達しか入れない。入試で全て80点以上取れた人だけだった気がする、確か。周りからは「特A」って言われて一目置かれてる。 「だったと思うよ、確か。え、てか何で相川さん?」 瑠衣の素朴な疑問に、俺はドキッ。 「え?いや、何となく?クラスの男子が可愛いって言ってたから、どんな子かなーって」 「ふーん?珍しいね、南が女の子のこと聞くなんて」 若干目を細める瑠衣。何となく、疑ってる様子。 「え、そ、そう?」 「まさか…好きなの?」 「え……えぇ!?ち、違うって!そんなんじゃないから!」 「…何か動揺してない?」 「瑠衣が変なこと言うからだよ!ただ何となく聞いただけで、本当そんなんじゃないんだって!」 「ふーーーん」 納得してるような、全然してないような。そんな瑠衣に気付かないフリして、慌てて話題を変える。瑠衣もそれ以上は何も言わず、相川さんの話題はそれで終わった。 俺嘘とか誤魔化しとかすぐ顔に出るらしいから、瑠衣にあれ以上突っ込まれたらヤバかったかもしれない。内心冷や汗を掻きながら、うまく話題が変えられたことに心底ホッとする。 それにしても、相川さんまさか一組とは。あれだけ美少女で頭も良いって完璧だな。それなのに、何であんなにも尖りまくってるんだろうあの子は。 昨日の相川さんの毒舌っぷりを思い出して、心底疑問に思った。可愛くて、頭良くて、おまけに帝様が兄ちゃんなのに。 相川さんの事情は俺にも分からないけれど、兎に角俺はもう一度彼女に会いたいんだ。放課後になったら、相川さんに会いに行こう。 そう思いながら一日ソワソワしてた俺。だけど、放課後になってすぐ予想外のことが起きた。
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