第四章「いざ脱却の為に」

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ーー 今日は理人・瑠衣・真凛と放課後遊ぶ約束をしてる日。瑠衣が前に言ってたモンブランの美味しいカフェに四人で行くことになってる。 「たーのしみっ、たーのしみっ」 「瑠衣、はしゃぎ過ぎ」 「だって、放課後に四人で遊ぶのってなんか久しぶりなんだもん!しかもスイーツが人気のカフェだし」 カバンを持って教室を出てから、歩いている今この瞬間も瑠衣の顔はニヤケっぱなし。正確に言うと、今日の朝からご機嫌。 「てか、理人と私は別に甘党じゃないし」 基本的に淡白な感じの真凛。瑠衣とは正反対の位置にいそうなタイプだ。 瑠衣は明るくて元気で、可愛い。立ち回りも上手いから、女子からも男子からも慕われる人気者。だけど、彼氏が居るって話は聞いたことがない。 真凛は所謂クールビューティって感じ。一見怖そうに見えるけど、ただクールってだけで話せば普通だし優しくて頼りになる。因みに中学の時から付き合ってる一つ年上の彼氏が居るらしい。 理人は…省略。すぐ俺をからかう嫌なヤツ!とはまた違うけど。理人も実は頼りになる、悔しいけど。チャラくてめっちゃモテて彼女コロコロ変わるから、できたのかどうかすらももう聞いてない。 「最近、南が付き合い悪くてさ。俺のことぜーんぜん構ってくんないの」 俺の肩を抱きながら、口を尖らせる理人。俺より身長高いから、肩を組むっていうより俺にのしかかってる感じ。 「ちょっ、理人重いっ」 「俺は寂しいよー南ちゃーん。てなわけで、今日泊まり行って良い?」 「彼女できた途端来なくなるくせに!来んな!」 中学の時から、理人は彼女ができると途端に俺と遊ばなくなった。けど長くは続かないから、またすぐに毎日のように俺と遊び出すわけなんだけど。 「ごめんって。そんなヤキモチ妬かないでよ南ちゃん」 「妬いてない!ていうか理人は、彼女ころころ変わり過ぎ!一人の子とまっすぐ向き合えばいいのに」 俺は最もな意見を言っただけ。なのに何故か理人に憐れみの目を向けられた。 「これだからウブなお子ちゃまは困るなぁ。そういう問題じゃないワケよ。付き合う時はビビッときちゃって、いざ付き合ったらなんか違うって良くある話よ?」 なぁ、瑠衣?と瑠衣に同意を求める理人。 「ない」 見事に一蹴の瑠衣。 「あー、そう言えばお前も一途なウブ子ちゃんだったっけ」 理人は、何故か瑠衣と俺の顔を交互に見る。 「ち、ちょっと理人!余計なこと言ったらホント怒るからね!!」 「はいはい、もー何も言いませんよ」 軽く両手を挙げて降参ポーズの理人。イケメンは何でもサマになるから、不公平だ。 「そう言えば南、アンタって相川さんと付き合ってんの?」 さっきまで興味なさそうにしてた真凛の、突然かつ強烈な一撃。俺は思わず立ち止まる。
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