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「ちょっと南!急に止まったら危ないじゃんっ」
俺の後ろを歩いてた瑠衣が、俺の背中に軽くぶつかった。
「あああああああ」
「ちょっとぉ!南が怖いよ!理人、何とかしてっ」
「よっしゃ任せろ」
立ち止まって意味不明な言語を発する俺、突如感じる耳への生暖かい吐息に思わず変な声が出た。
「あ、感じちゃった?」
「り、理人!気持ち悪いことすんなよ!」
「気持ち悪いのはお前だろ」
「はぁ!?」
「てか、動揺したの?」
理人には強気でいられたけど、真凛の言葉に俺は再び慌てだす。
「どど動揺なんか、してないけど?」
「思いっきり、してんな」
「うん、してる」
「え、動揺するってことは真凛の言ってることホントなの!?」
驚いた様子の瑠衣に、俺は思いっきり首を横に振った。
「そ、そんな訳ないじゃん!こないだ言ったでしょ、足怪我した相川さん偶然助けただけだって」
「でも南、汗かいてるよ」
ジーッと俺を見つめる瑠衣の顔には「疑ってる」って思いっきり書いてあった。
「いや、違う、違うって!真凛が急に訳分かんないこと言うからだよ。俺と相川さんは何もないよっ」
付き合ってる訳じゃないのは本当。本当なんだから焦る必要ないんだけど、相川さんの話ししてるとウッカリ余計なことまで喋ってしまいそうで怖い。
「でも、私の友達が南と相川さんが二人でファミレスにいる所見たって言ってたよ」
真凛の一言が、既にヒビ入ってる俺を粉々にした。
「あぼぼぼぼぼ」
「わぁっ!南が泡吹いてる!理人っ!」
「任せろ」
「ちょっ、理人!お前ケツ触んな!」
触り慣れてる感が腹立つ!
「相変わらず南ちゃんのお尻は触り心地最高」
「お前、さっきから良い加減にしろよ!」
「正気に戻ったっしょ?」
「…南、相川さんとファミレス行ったの?ホントに?」
瑠衣の顔は怪訝そう。驚いてるような悲しんでるような、良く分からない表情をしてる。
「えーっと、いや、何ていうか…」
「学校から結構離れてるファミレスなんだけど四組の友達がバイトしてて、二人のこと見たって言ってたから嘘ではないでしょ」
プロのゴシップ記者でも、真凛には敵わない。
「まぁ…それはホントだけど」
遠めのファミレスわざわざ選んだ意味なかった。
「ホントなんだ…」
「いや、だけどそんなんじゃなくて…ほら勉強!勉強教えてもらってたんだ!保健室付き合ってくれたお礼にって」
ゆくゆくは帝様からドSをご教授頂くわけだし、そういう意味では勉強とも言える…よね?
理人、瑠衣、真凛の表情は三者三様。取り敢えず、一番イラっとくるのは理人のニヤケ顔。
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