🖤カフェ

1/2
前へ
/20ページ
次へ

🖤カフェ

行きつけのカフェで体験した話。 そのカフェは最寄り駅から数分の場所にある。 少し奥ばった所にあるいわば隠れ家的なカフェなのです。 店内は小ぢんまりとしていて可愛いアンティークの飾りがありノスタルジックで大正時代を感じさせる様な落ち着いた印象で、席は2人がけが4席程で、休日は勿論、平日でも時間帯によっては直ぐに満席になってしまいます。 でも、私はこのカフェが大好きで仕事が忙しくなければ週に1度は必ず足を運びます。 そんなカフェで不思議なコトが起きました。 確か季節は春、時間帯は夕方に差し掛かった辺りだったと思います。 私はいつもの様に紅茶とスコーンを注文し、店内を見ていました。 因みに店内にはスペースはそんなに広くないものの、紅茶やスプーンなどのこれまた可愛い商品が並べられ売られているのです。 それらを見ていると入口から誰かが入って来ました。 私は商品を手に取りながら横目で入って来た人を見ました。 首から下しか目に入らなかったのですが、女性で背中ぐらいの髪に、白くて少し大きめのブルーの花柄のワンピースを着ていました。 お客さんなんだと思いその時は別に気にも止めていませんでした。 それから2~3分でしょうか、そろそろ注文したモノが来るなと思い席に戻ろうとした時、私はビックリしました。 2人掛けのテーブルが4つ……その時は半分埋まった状態でしたが先ほど入店して来た女性が居ないのです。 ですが、ここで何か言っても仕方ないと思い私は自分のテーブルに戻りました。 直ぐに紅茶とスコーンが来ました。 素敵な香りに美味しそうなスコーン、女性の事が気になりながらも私は紅茶とスコーンを食べ癒されていました。 ところが、急に「あっ!」と気付かされたのです。 ご存じの方も多いと思いますが、昔ながらの喫茶店って、扉の上に人が出入りするとカランカランと鳴るモノが着いてたりしますよね。 このカフェにもそれがあるんです。 しかし、私の見た白いワンピースの女性が入店して来た時………その音は一切鳴らなかったのです。 「あ~、見ちゃったのかなぁ」 そう思いました。 私は霊感体質では無いと思うのですが、場所によっては「ここはちょっと嫌な感じがする」ぐらいの程度であからさまに見てしまったとか取り憑かれたなどと言う経験も記憶もありません。 しかし、先ほど見たモノは幻や見間違いでは無いと思うのです。 しかし、なぜか怖いとは感じませんでした。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加