秘匿の水

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10月に入ったお互いの休みの日、泉水とワタルは新調したスーツを着て、泉水の母、愛子が眠る墓地に車で向かった。 愛子の墓は、綺麗な花が手向けてあった。 田中さんか桐生か、それとも保昌かと泉水は思いながらも、墓石の前に跪いた。ワタルも泉水の後ろでしゃがんだ。2人で愛子の墓に手を合わせる。 「お母さん。やっと来れました。ここに初めて来るときは、俺の愛している人と一緒に来ると決めていました。遅くなってごめんなさい。俺の大切な人、佐渡航路さんだよ」 泉水が語る言葉を聞いて、ワタルは嬉しくて胸がいっぱいになった。 「父さんから本当の事を聞いた時から、いつかワタルとここに来たかったんだ。ちゃんとお母さんに報告したかった」 泉水の笑顔がワタルは涙で霞む。 「泉水さんのお母さん。初めまして。佐渡航路です。泉水さんとお付き合いしてます。これからもよろしくお願いします」 ワタルも手を合わせ愛子に挨拶する。 泉水とワタルは立ち上がると見つめ合った。 泉水はワタルの手を握る。 「ワタル。俺達は法的に夫婦にはなれないけど、俺はワタルを愛している。これからもずっと。だから母の前で誓わせてくれ。これからも一生をかけてワタルを愛し続けると、幸せにすると約束する。だからずっと一緒に生きていこう。ずっとそばにいてください。これは、俺からワタルへのプロポーズなんだけど」 照れ臭そうに泉水は言う。ワタルは終始笑顔だった。 「ありがとう、泉水さん。正直不安だった。泉水さんとずっと一緒にいるって約束してたけど、僕達は普通の結婚はできないから。目に見える形がなかったから。でも、お母さんの前で誓ってくれてありがとう。それだけで、僕は満足です。一生幸せになろうね」 お互い見つめ合って笑い合った。 駐車場に戻ると、泉水は車の中でワタルにキスをした。激しいキスにワタルは泉水にされるがままだった。 「ワタル。愛してる。絶対離さない」 唇が離れると見つめ合って泉水は言う。 「僕も愛してる」 今度はワタルが泉水の唇を激しく貪る。 もっとキスをしていたかったが、早く2人きりになりたい泉水は車をスタートさせ、予約している横浜のホテルに向かった。 「この、ホテル」 ワタルはホテルに着くとびっくりして泉水を見る。 「ごめん、部屋番号までは覚えてないから部屋は違うんだけど。スーツが出来上がったらここに連れてきたかった」 このホテルは、泉水とワタルが2年前に初めて会ったホテルだった。 地下の駐車場からフロントに向かうと泉水はチェックインした。 「部屋に行く前に食事をしよう。レストランも予約してあるんだ」 ホテルのフレンチレストランに入る。奥の個室に通されると、泉水とワタルは席に着いた。 コースをもう頼んでいたので、ソムリエがウエルカムドリンクとしてシャンパンを運んできた。 泉水とワタルは乾杯するとシャンパンを味わう。 「なんだかドキドキする。初めて会ったあの日と同じホテルに来れるなんて」 「あの時は、まさかこんな日が来るとは思わなかった。あの日に感謝だよ」 泉水は満足そうにそう言ってワタルに微笑み続ける。 「ずっと僕は泉水さんに大事にされてきたね。初めて会った日も、付き合ってからも、一緒に住み始めてからも。本当に出会えて良かった」 嬉しそうにワタルは言う。 「私こそずっとワタルに大事にされてきた。いっぱい甘えてきた。今目の前にワタルがいてくれるから、私はこんなにも満たされて幸せなんだよ。だから、ここで今夜は過ごしたかった。私達が出会えた大事な場所だから」 2人は美味しいワインと食事を楽しむと、夜景の美しい部屋へと入った。 ベッドの中で抱きしめ合い唇を重ね合う。 ワタルの艶のある喘ぎ声を聞きながら、泉水はワタルを淫らに乱れさせる。美しい肢体がピンク色に染まり、泉水から受ける愛撫に悶え狂う。 たっぷりと泉水から快楽を与えられ、ワタルはもう何も考えられなかった。 「綺麗だよ。ワタルの全てが」 ワタルは目を潤ませて頬を紅潮させている。 ワタルの中に泉水が入っていく。ワタルは息を荒くして、快感の波に飲まれた。 今夜は我慢せずにワタルは鳴きまくる。泉水に攻められるたびに身体を震わせ煽情的な声で鳴く。 「ああッ!あッ!ああんッ!」 ワタルは、顔をイヤイヤさせながら乱れまくる。敏感な身体は蕩けまくっていた。 「泉水、さんッ!もう、ああんッ!あんッ!」 泉水の身体で乱されながら、ワタルはグッタリとして動かなくなった。 シーツには、ワタルが放出した白濁した体液が飛び散っている。 「泉水、さん。もう、だめぇ」 ワタルがピクピクしながら泉水に抱きつく。 「もう少し我慢して。私がもっと壊してあげる」 泉水の攻撃にワタルは悲鳴をあげた。もう、自分の身体ではないみたいだった。 そして泉水が果てた時にはもう失神していた。 ワタルが目覚めると、泉水が優しい顔でワタルの髪を指で梳いている。 「ワタル、興奮しすぎ。声も悲鳴だし。本当に壊れちゃったかと心配したよ」 泉水の言葉にワタルは恥ずかしそうに泉水にしがみつく。 「だって、我慢しなくていいと思ったら、凄く感じちゃったんだもん。泉水さんもいつもと違って、手加減なしだし」 満足そうにワタルは言う。 「私も気持ちよかった。腰がだるくて動きたくない」 泉水もギュッとワタルを抱きしめる。 「ワタルと会えたことは奇跡だよ。そして運命の相手だった。身体の相性もバッチリだし」 泉水のセリフにワタルは笑った。 泉水は出会った頃を思い出す。こんなに愛し合うと思わなかった。 そして愛し合える今に感謝した。
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