冷たい水

4/9
前へ
/153ページ
次へ
その後はしばらく何人かの女性と付き合ったが、結局理との付き合いが忘れられなかった。 男を求め、その関係のバーで泉水は、誰からか声をかけられるのを待っていた。 しかし、不思議なほど誰からも声をかけてもらえない。 「気に入った子を見つけたら、キミから声をかけてみたら?君、攻めでしょ?君の外見じゃ、みんな断られるのが怖くて尻込みして声かけられないからね」 バーのオーナーにアドバイスを受け店内を見渡す。モテるのはガチムチ系が多い。 また見渡すとスーツを着た、物静かそうな男に目が止まった。 社会人なのだろうが、よく見ると可愛い系だった。 泉水は勇気を出して、オーダーしたビールを両手に持ってその男に近づいた。 「と、隣、良い?」 緊張して少しどもる。可愛い系は、ビクッとして泉水を見たが、泉水の顔を見てホッとしている。 「どうぞ」 可愛い系が小声で言う。泉水は隣に腰掛けた。 「ビール、飲める?」 「うん」 ぎこちなく二人は乾杯した。 「え、と。俺、ここ初めてなんだよね」 泉水が言うと、可愛い系も初めてだったと言った。 「俺、大学生なんだけど、良い?社会人でしょ?」 「ああ、俺は気にしないよ。俺はまだ社会人一年目。よろしくね」 可愛い系は笑顔も可愛かった。 「なんて呼べば良い?俺のことは泉水って呼んでよ」 「俺は、将だよ」 しばらく雑談をしていたが、泉水からホテルに誘った。将は見たまま、やはり受けの方だった。 将が先にシャワーを浴び、その後にすぐ泉水もシャワーを浴びた。 ぎこちない空気が流れていたが、泉水が理とのことを思い出しリードを始める。 「舐めてくれる?」 色っぽい顔で泉水がねだると、将は頷いて泉水のモノを口に含んだ。 「あっ、マジ、気持ちいい、ああッ!」 久しぶりの感覚に泉水は痺れた。 「口でイかないでね。俺の中に挿れて」 舌で下から舐め上げながら将は言う。 「あッ、うん。でも、俺、挿れた、こと、ない、から」 気持ちよすぎて、泉水はまともに話せない。 「女に挿れるのと変わらないから」 最後に先端をぺろっと舐めると、一度将は離れた。 「コレ、使って」 将が泉水にゴムを投げる。泉水は持っていなかったので、将が持っていてくれてホッとした。 「挿れる前に、指でほぐして」 お尻を向けられ、泉水は舌で舐めた。 「あッ!舐め、なくても、良いのに」 恥ずかしそうに将は言う。 「舐めて濡らしたほうが良いでしょ。気持ち悪い?」 将は首を振り、泉水の舌使いに感じまくる。 泉水が指を挿れてほぐし始めると将は悶える。 「やぁッ!凄い、気持ちいい。泉水って上手いね。相当、慣れてる?」 意外だった。 こんなこと理にもしたことなどなかった。 女性にしていることを、ただ場所を変えて愛撫しているだけだった。 「もう、挿れてくれる?我慢できないんだ」 潤んだ目で将が訴えてくる。 泉水はいよいよと思いゴムを着けると、ゆっくりゆっくり慎重に将の中に入って行った。 その時の記憶はあまりない。 ただ正直女性とのセックスよりも気持ちいいことを知った。 その日はそれで別れたが、将とは付き合いが始まった。
/153ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1175人が本棚に入れています
本棚に追加