冷たい水

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部屋に戻ると、ワタルはベッドの上で泉水のモノを口に含んだ。 ピチャピチャとわざと舌で音が出るように舐める。 先端を舌先で刺激されると、泉水は息を荒くした。 「気持ちいいよ、ワタル」 初めて呼び捨てをされてワタルは嬉しくなった。 「このまま口に出したい?それとも僕に挿れたい?」 泉水の大きな掌がワタルの髪を撫でた。 「ワタルはどっちがいい?君が選ぶといい」 「両方」 ワタルの答えに泉水はプッと笑った。 「じゃあ、私を好きにしていいよ。君を覚えてなかった罰をたっぷり受けるよ。でも口に出した後に勃たなくなっても怒らないでね」 「大丈夫。罰を受けてくれるんでしょ。何度でも勃たせてあげる」 ワタルの言葉を聞いて泉水は優しく髪を撫で続ける。 ワタルは好きなように泉水のモノを舐めまくる。 泉水が声を殺して身体を震わせているのが愛おしくて、ワタルもまた勃起してきてしまい、シーツに擦り付けながら泉水のをしゃぶる。 バレないように我慢しないと、また泉水に先にイかされるのがイヤだった。 「ああ、もう、無理。ワタル」 大きく乱れることなく、シーツを鷲掴みにして泉水はワタルの口の中で果てた。 「美味しい」 ワタルはそう言って、ベッドから起き上がる。 痛いほど自分も勃起しているのを泉水に見られたくない。 「こっちにおいで」 「口、ゆすいでくる。自分の味のするキスは嫌でしょ」 背を向けたままワタルは洗面所で口をゆすいで、興奮を鎮めようとする。 でも近くに泉水がいると思うと逆に昂ぶる。 「さっき出したのに」 「何を出したって?」 洗面所のドアが開いていて、鏡に映っていた泉水が入ってきた。ワタルはびっくりしてドキドキが止まらない。 「流石に若いね。元気だな」 ワタルは見られて真っ赤になる。 「私のをしゃぶっていた時からでしょ?さっき腰が動いてたように見えた」 我慢できずに、勃起した先からしずくがたれている。泉水に見つめられてワタルは身体中が熱くてたまらない。 「こんなになってたら、辛いでしょ。ベッドに戻ろう」 手を引いて部屋に戻すとベッドに押し倒す。 「あッ!ダメッ」 「お返し」 泉水の口の中でワタルはビクビクと反応してしまう。 「やだ、ダメ、だよッ」 「どうして?気持ちよくない?」 キュッと握られ、ワタルはまたビクッと身体を震わせる。舌が厭らしく動いて、更に熱く切なくなる。 「恥ずかしいの。泉水さんがする事、全て、気持ちよすぎて、僕ばかり乱されて。欲求不満だって、思われたくないッ」 「思わないよ。若いんだから、感じやすくて当たり前でしょ。それよりも、そんな姿見せられて、可愛くてたまらないよ」 それでもワタルはイヤイヤをしながら枕を抱きしめて顔を隠す。 「泉水さ、ん。ダメッ!もう出ちゃう!あああ!」 泉水が口を外し扱くと、泉水の手の中でドクンとワタルは果てた。 ハァハァとワタルの息遣いが荒くてなかなか落ち着かない。 「ごめんね。私は飲んだことがないんだ。最後手でイかせてしまった」 泉水の言葉にワタルは首を振る。 「気にしないで。そこまで求めてないから」 ワタルが微笑んで泉水を見つめる。 「二度目だったけど、結構出たね」 両手を広げて白濁した液体を見せられてワタルは真っ赤になった。 「手を洗ってきて!」 ワタルが怒ったように言うと泉水は笑いながら手を洗いに行った。 しばらく落ち着くと、泉水はワタルに腕枕をする。 「あー、そう言えば腹減ったね。夕飯食べてなかった」 時間はもう0時を過ぎていた。 「僕はさっき泉水さんので栄養補給したし」 「バカ」 珍しく泉水が赤面する。 「ビールで我慢するか。何か飲む?」 ワタルは首を振る。泉水はゴクゴクと一気にビールを喉に流し込んだ。 「聞いていい?」 泉水はワタルに振り返る。 「何?」 「……やっぱり、いい。どうせヤキモチ妬くだけだし」 それで全て分かった。泉水は聞かなかったフリで2本目のビールを開けた。 「ワタルは?あの後、恋人はできたの?」 ワタルは頷く。 「同じ大学の同級生とね。でも、卒業と同時に彼は田舎に戻った。今頃地元で公務員してるよ」 「モデルの仕事はいつから?」 「大学3年の時に渋谷でスカウトされた。この業界の人ってゲイが多いんだけど、なぜか今まで僕は狙われてない。だから彼氏と別れて、泉水さんが久しぶりの男だ」 「事務所の力でしょ。ワタルの事務所大手だし、スキャンダルを嫌うからね」 泉水はベッドに戻るとワタルの髪を撫でる。 「だから、私との関係も、今夜限りだよ」 「……なら、モデル辞める」 見つめ合って、唇を重ねる。 「わがままだな。また、ベッドの中でくるまるかい?」 泉水の言葉にワタルはハッとした。 「思い出したの?僕とのこと」 泉水はフッと微笑む。 「バスルームで抱いていて思い出した。身体が覚えていたのが正直なところ」 ワタルが起き上がって泉水に抱きつく。 「じゃあ、もう今夜限りだなんて言わないで。僕はモデル辞めても良いんだ」 泉水はワタルの髪を撫でながら唇を塞ぐ。 「他にやりたい仕事が無いならモデルは続けなさい」 「僕たちは?」 泉水はため息をつく。その顔を見てワタルは悲しい顔をする。 「こんなオッサンのどこが良いの?」 「オッサンじゃないよ。イケメンでセックスが上手い」 チュッと軽くワタルはキスをする。泉水は物好きだなと呆れ顔で笑った。 「じゃあ、そんなに言うならこれからいっぱい鳴かせてやる。後悔するなよ」 泉水はそう言うとワタルを押し倒し、力一杯細長い脚を開いた。 ワタルは泉水が、自分を受け入れてくれたことが嬉しかった。 泉水はワタルを受け入れ、流星を諦める決意をした。 流星の、笑顔も香りも全てを忘れようとワタルを激しく抱く。 しかし気持ちは正直なもので、心の中に冷たい水のしずくがポタリと落ちた。
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