精選版 日本国語大辞典(小学館)より引用

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精選版 日本国語大辞典(小学館)より引用

さん‐じ【三時】〘名〙 ① 仏語。正・像・末の三つの時代。仏滅後の仏教の行なわれるさまを三つに分けた時代区分。教・行・証の上でいえば、教・行・証がえられている正法、教・行はあるが、証がえられない像法、教はあるが行・証がすたれてしまう末法の三つの時代をいう。 ※教行信証(1224)六「法有二三時一、人亦三品」 ② 仏語。法相宗で説く有・空・中の三時。釈迦一代の教えを内容によって有教・空教・中道教に分け、順次に初時・第二時・第三時に配するもの。 ※日蓮遺文‐顕謗法鈔(1262)「法相宗は三時に一代ををさめ」 ③ 仏語。六時を昼夜に分けた、昼三時、夜三時。晨朝(しんちょう)・日中・日没の三つと、初夜・中夜・後夜の三つ。いずれにも勤行・読経の時間がある。 ※性霊集‐九(1079)高雄山寺択任三綱之書「一鉢単衣除二煩擾一。三時上レ堂。観二本尊三昧一」 ④ 種・熟・脱の三時。仏の教化の益について天台宗、日蓮宗で説く説。 ※阿彌陀新十疑(平安中)「第一疑云、衆生之機皆有二種熟脱之三時一」 ⑤ 過去と現在と未来。 ※観智院本三宝絵(984)序「其の数を三巻に分かてる事は三時のひまにあてたるなり」 ⑥ 朝と昼と晩。 ※東京新繁昌記(1874‐76)〈服部誠一〉初「三時の飲食菲(うすう)して而して他の牛肉を思ひ」 ⑦ 禅宗で、粥前(朝)・斎前(日中)・薬石前(晩)の三回、経を読誦すること。 ※空華日用工夫略集‐永徳三年(1383)一二月一八日「住持普明国師与レ余議二定本寺行事礼数十余件一。所レ謂四時・三時・二時・四節・三八等、大半倣二天龍之例一」 ⑧ 「さんじごう(三時業)」の略。 ※正法眼蔵(1231‐53)三時業「善悪の報に三時有りといふは、一には順現報受、二には順次生受、三には順後次受、これを三時といふ」 ⑨ 農事を行なう上で大切な春、夏、秋の三つの時季。種をまき、草を取り、収穫をする三つの時季。〔書言字考節用集(1717)〕 〔春秋左伝‐桓公六年〕 ⑩ 時刻の名称の一つ。一昼夜を二四分した、その三番目の時刻。また、一昼夜を午前と午後とに分け、それぞれを一二分した、その三番目の時刻。 ⑪ (午後三時ごろに食べるところから) おやつをいう。おさんじ。 み‐とき【三時】 〘名〙 ① 一日の朝・昼・夜の三つの時。 ② 一時(いっとき)(=約二時間)の三倍。すなわち、約六時間。 ※平家(13C前)六「うちふす事三時(トキ)〈高良本ルビ〉ばかりして遂に死にけり」
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