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聖蘭の背中越しには、徐々に小さくなる丸い地球が見える。丸い月の輪郭が近づき、僕も感激する。
「旅行で向う火星は、地球より小さいんだよ」
「わーっ、タツ君、頭良い。月をバックに2ショット写真撮ろうよ」
さっきと同じ要領で自撮り棒を用意した。窓から映る壮大な月をスペクタルに、2ショット写真を撮る。
窓からきらめく星たち。聖蘭と2ショット写真を撮り続けて、数時間の宇宙の旅は退屈しない。
小さく丸い赤い天体を僕が指差す。
「聖蘭、あれが火星だよ」
「わ、赤い惑星だ」
シートベルト着用指示が出た。2ショット写真を撮れず、聖蘭は少し、寂しそうだ。
旅客機は火星上空を旋回する。機長のアナウンスでは、宇宙空港上空が混雑しているそうだ。順番に着陸するので、火星上空を旋回する。窓の景色は星空や、赤い火星の表面に変わる。
聖蘭は長い息を吐き、宇宙の壮麗さに目を奪われていた。
「聖蘭、自撮りしよう」
「さすがタツ君、自撮り棒を」
僕はシートベルトを外す。自撮り棒を使って2ショット写真を撮影する。不届き者に気付く、客室乗務員さん、時間との戦いだ。シートベルトを締めるよう、促されるまで、数枚撮影に成功した。
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