女は、度胸。

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「それに夜の仕事には、こういうヤクザ絡みのお店も多くある。  今回は、たまたま俺で良かったが悪い奴らだと飲酒をさせたり悪いモノを売り付ける奴もいる。  君みたいな子供には、まだ足を踏み入れたらいけない世界だ。  大人しく先生の言うことを聞いて帰るんだ!」  足を組みながら堂々と話す鬼龍院さんの姿に戸田君は、しゅんと落ち込んでしまう。  可哀想ではあるけど……仕方がないわよね。 こればかりは……。  しかし生活がかかっている戸田君は、なかなか食い下がろうとしなかった。  パッと土下座をしてきた。戸田君……!? 私は、驚いてしまった。 「お願いします。生活がかかっているんです。  弟に不自由させたくないし、親だって必死に働いていて俺しか……守れてやれないんです!!  お願いします。迷惑かけないようにしますから」  何度も頭を下げる戸田君に私は、胸が余計に痛んだ。 こんなに必死に家族のことを想っている彼を見捨てられないし。  すると黙って聞いていた鬼龍院さんは、ハァッ……とため息を吐いた。 「……君の親が借りた会社は何処だ?」 「えっ……?」 「もう一度だけ言う。君の親が借りた会社は何処だ? あと金額は、いくら借りた?」 鬼龍院さん……?  そんなの聞いてどうする気かしら? 「えっと……金城ハッピーローンです。 金額は……800万です」 「金城組の奴らか。あそこは、取り立てにうるさく 利子を高くしたり悪どいやり方で有名な会社だ。おい」  戸惑いながら話してくれた戸田君と違い鬼龍院さんは、眉を潜めた。  そしてすぐに部下に何かを出させた。  あれは、小切手かしら? 鬼龍院さんは、小切手にサラサラと800万と書いた。  そしてそれを千切ると前に置いた。 「これで、その会社と契約をチャラにして来い。  その会社には、俺からも話をつけておく。 もう取り立てにも来なくなるだろう」
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