幼馴染みのお兄ちゃん。

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 普段の優しいお兄ちゃんと違い、何だか必死な感じがしてちょっと怖かった。  そんな私達を見ている奈緒と窓際からコソッと坂下君が顔を出してきた。 「アイツ……馬鹿かよ?  自分で自分の首を絞めてどうするよ? そもそもさっさと気づいて断ればいいのにさ」 「まぁ、いいじゃないの。  最高に面白くなっているところなんだから、そのまま黙ってあげましょう♪  まぁ……あなたは、面白くないわよね。坂下君」 「うるせぇ……」  楽しそうにクスクスと笑う奈緒に対して坂下君は、ムスッと不機嫌になっていた。  そんなことを知らない私は、必死に黒江お兄ちゃんに分かってもらえるのかを考えていた。  そ、そうだわ。まず鬼龍院さんを知ってもらおう。 鬼龍院さんの良さを知れば、きっと考えを改めてくれる。  私もそうだったし……なんたって極道の天使様なんだから。  私は、そんな甘い考えをしていた。 のちにそれが大変な後悔をすることになるなんて……。  その時は、夢にも思わなかった……。  鬼龍院さんにもそのことを話した。 僕のせいなら協力したいと申し出てくれた。  なので黒江お兄ちゃんを入れて3人で出掛ける計画を立てた。  名付け『黒江お兄ちゃんと鬼龍院さんの仲良し計画』だ!  まず一緒に買い物したり水族館に行ったりしよう。 普段の鬼龍院さんを知れば分かるはずだ!  決行は、今週の日曜日。 そのために準備をして計画を立てた。  フフっ……問題ないわね。私は、陰ながら企んでいた。  そして日曜の運命の日を迎えた。絶好の晴れ日和。 駅の近くで待ち合わせをしたら黒江お兄ちゃんが立って待っていた。  相変わらず立っている姿もカッコいい。 黒の上着に赤いTシャツ。黒のジーンズだった。  振り向いている女性が何人か居た。 も、もちろん鬼龍院さんも負けてはいない。  グレーの上着に黒のVネックのシャツにグレーのズボン。春らしくお洒落な感じになっている。  素敵。これが私の旦那様だと言うのだから驚きだ。 おっと……惚れ直している場合ではない。  早速、計画通りに行かないと……。 私達は、黒江お兄ちゃんのところに向かった。 「お待たせ。黒江お兄ちゃん」 「あぁ……今日は、よろしく」
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