幼馴染みのお兄ちゃん。

11/18

2282人が本棚に入れています
本棚に追加
/142ページ
 黒江お兄ちゃんは、鬼龍院さんを見るとギロッと睨み付けていた。あれ?  何だか火花が飛んでいるように見えるのは、気のせいだろうか?  しかし鬼龍院さんは、構わずにニコりと微笑んでいた。  と、とりあえず。買い物をしてから素敵なお店でランチをしよう。  私と鬼龍院さんが仲がいいところを見れば、きっと黒江お兄ちゃんの考えが変わるはずだ!  近くの商店街に行くことにした。 まずは、女性物のショップで鬼龍院さんに服を選んでもらおう。 「鬼龍……じゃなかった。葵さん。 この服とこの服ならどちらが似合いますか?」 「うーん。どれも素敵だよ!  上紗さんは、どの服も似合うから両方買うといいよ。何ならこの辺の服全部買う?」 「いや。それは……いいです」 忘れてはいけない。  鬼龍院さんは、極道の若頭だけではなく、土地やお店などをいくつも経営している資産家だ。  お店ごと買うことも出来てしまう。 これだと仲良しアピールの前に金持ち自慢になってしまう……。  違う……私がしたいのは、そういうことではない。 「そうだわ。お腹が空いたからお昼にしましょう。 近くに素敵なお店を見つけたんです!」  食事を食べながらイチャついていたら仲良しアピールになるはずだわ!!  そう考えを改め私達は、近くのお店に移動した。 お洒落な店内で料理もリーズナブルで美味しいと評判のイタリアンだ。だが……。 「上紗……これ美味しいよ。食べてみて」 「上紗ちゃん。昔からカルボナーラの方が好きだよね。 俺のもあげよう。ほら、あーん」 「えっ……あの……」  ニコニコしながら勧めてくる鬼龍院さんとあーんと言いながら食べさせてくれようとする黒江お兄ちゃん。  私と鬼龍院さんのラブラブなところを見せるはずが、いつの間にか私が板挟みになっていた。 「黒江さんでしたよね? 僕の妻にあーんと言うのは、ちょっと……」 「うん?どうしてだい? 上紗ちゃんには、昔からあーんしてあげてたけど」 「えっ……?」
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2282人が本棚に入れています
本棚に追加