幼馴染みのお兄ちゃん。

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 私は、ツッコむように言った。 結婚しても未だに鬼龍院さんを諦めないなんて……。  しかし大河内幸也は、まったく気にせずに黒江お兄ちゃんをガン見してきた。  するとクスッと笑うと背広から名刺を取り出して黒江お兄ちゃんに前に置いた。  そして肩をポンッと叩くと耳元に囁くように言った。 「いいかい?女の奪略は、醜いものだが男は、好きな奴を奪略するぐらいの勢いがないとな。  守りたい奴も守れねぇーぜ?」  ちょっとそれってどういう意味よ!? 黒江お兄ちゃんは、それを聞くとカッと頬を赤くした。  すると大河内幸也は、アハハッと笑いながらイケメン君を連れて行ってしまった。  な、何なのよ!?あの人は……いつもいつも。 邪魔しに来ているようなものだし。そもそも策略って何!?  黒江お兄ちゃんに何を吹き込んでいるのよ? 何だか意味が分からないがムカついてきた。  しかしその後は、余計に空気が重くなる。 何なんだ……この暗く重い空気は!?  鬼龍院さんも黒江お兄ちゃんも黙りだ。 とにかく早めに計画を切り上げようと思った。  変に誤解をして揉めない内に……。 「あ、あのちょっと……痛い。 私お腹が痛いから……お手洗いに」  私は、お腹が痛いのを理由に席を外した。 本当は、お腹なんて痛くないが、それを理由にして切り上げようと思ったからだ。  女子トイレに行くと化粧室で深いため息を吐いた。 私……何か間違えたのかしら?  鬼龍院さんを認めてもらうために計画したはずが、より溝が深くなったような気がしてきた。  おかしい……こんなはずではなかったのに。  とりあえず戻って……中止にしよう。 それで、また改めて計画を練り直そうと思い女子トイレから出た。  すると黒江お兄ちゃんが心配そうに待っていた。 「お腹大丈夫かい?上紗ちゃん」
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