鬼龍院組の若頭。

10/20
前へ
/142ページ
次へ
「ちょっと皆……私は……」 「あーでも無理があるか。だって椎名先生……ババアだし」 な、何ですって!?  坂下君の言葉に思わず持っていたチョークをまた折ってしまった。  あんたが言ったくせにババアって何よ!?ババアって……。 「坂下君。私まだ24なんだけど?」 「DKの俺からしたら24なんてババアなんだよ。 自覚しろよ……おばさん」  何か切れる音がした。 机をバンッと叩くと坂下君を睨み付けた。  「もう一回言ってみなさい!? また言ったら廊下に立たせるわよ!」 「はぁ?廊下に立たせたら問題になるだろ? 体罰に訴えられたいの?椎名先……いや椎名おばちゃん」 「徹底的に話し合おうじゃないの!!」  またいつもの坂下君との口喧嘩になってしまった。 授業は、それで潰れるし後で教頭先生にこっぴどく叱られていた。  だが、そのせいか鬼龍院さんのことを深く考えずに済んだ。  もしかして……落ち込んでいる私に元気付けようとしてくれたのかしら?坂下君……。  いや。まさかね……。でも、お陰で鬼龍院さんのことを一瞬でも忘れることが出来た。  そう考えると後でお礼を言わないといけないわね。 「椎名先生。今の話聞いていましたか?」 「は、はい。もちろんです」 教頭先生の説教は、相変わらず長い。  結局、散々説教されてから解放された。 やっとの思いで学校を後にする。  ハァッ……散々だったわ。教頭の話って何でこんなに長いのかしら?  ぶつぶつと文句を言いながらため息を吐いた。 駅から降りて自宅に向かう。  すると自宅付近で1人の中年男性が私の前に現れた。 黒いスーツを着ており頬に傷痕がある。  だが怖いというより落ち着いた雰囲気の人だった。 年は、50代前半ぐらいだろうか?
/142ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2303人が本棚に入れています
本棚に追加