鬼龍院組の若頭。

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 彼の顔が浮かんだ。私が顔を見せに行ってもいいのだろうか?  一度でも疑った私が……それに……。 まだ躊躇いがあった。彼らを信じてもいいのだろうか。  坂下君に言われた言葉が頭を過る。 私は、自分から行きたいと志願をしてしまった。  本当なら坂下君の言う通りやめておいた方がいいのかもしれない。 後悔するかもしれないのに……。  なのに鬼龍院さんの笑顔を思い浮かべたら会いたくて堪らなくなった。  それは、中毒のように……私を支配する。  喫茶店を出ると重勝さんの車で私は、鬼龍院組に向かった。 初めて行く鬼龍院さんの自宅だ。  しばらく走ると大きな屋敷が見えてきた。 何処まであるの?と思うほどの広い敷地に大きな和風の屋敷。  門構えから組だと分かるし何より地位の高さが分かる。凄い……。  我が家とは比べものにならないぐらいだわ。 門のところには、たくさんのヤクザ達が居て、とても入りにくい雰囲気だった。 「上紗様。こちらです」 「は、はい」  私は、車から降りると敷地内に入っていく。 中に入るとたくさんのヤクザ達が居た。こ、怖い……。  身体をビクビクと震わしていると重勝さんは、他の部下の人に声をかけた。 「若のお相手を連れてきた。 若は、何処に居る?すぐに会わせたいのだが」 「若なら部屋にいらっしゃいます」  部下の人がそう言ってきた。 すると重勝さんは、自宅の中を案内してくれた。  屋敷の中は、敷地に負けないぐらい広さで老舗の高級旅館のようだった。  高級そうな置物や壺。縦軸などが飾られてある。 そして長い廊下を歩くと奥座敷に連れて行かれた。 「若。お客人をお連れしました」  重勝さんは、そう言うと障子の戸を開けた。 開けるとテーブルに座っている鬼龍院さんの姿が見えた。  浴衣姿で周りに猫が2匹ぐらい丸くなりながら眠っていた。  浴衣姿の鬼龍院さんは、ちょっと着崩れており悲しそうな表情は、色気と妖艶な感じをさらに増していた。  私は、思わず息を呑んだ。 すると気づいた鬼龍院さんは、慌てて立ち上がった。
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