鬼龍院組の若頭。

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「もちろんです。チケットお持ちしますね」  私は、ニコッと笑いながらそう言った。 鬼龍院さんのことをよく知るにもまずは、歩み寄らないといけない。  そのためにもきっかけを作りたかった。 きっと鬼龍院さんの人柄を知ったら坂下君や奈緒も考え直すかもしれない。  そんな淡い期待をしていた。 すると鬼龍院さんは、握っていた手をギュッと握り直してきた。 「嬉しいな……僕。学校の文化祭って一度も参加したことか無いんだ」  えっ……参加したことがない!? 鬼龍院さんの発言に私は、驚いてしまった。  それは、何故だろうか?学校全体のイベントなのに……。 「どうして……?」  すると鬼龍院さんは、苦笑いしながら前を見る。 そして思い出したように話し始めた。 「僕。よく学校や外でも不良軍団に絡まれることが多くて。ほら……家が極道だから。  喧嘩も強かったし、勝てたら箔がつくとかで……。 そうなると文化祭なんかで暴れられたら周りの人に迷惑になっちゃうし。  だから、なるべく遠慮して参加しなかったんだ」  切なそうに理由を話す鬼龍院さんに胸がギュッと締め付けられそうになった。  これは、何が何でも参加してほしいと思った。 きっといい思い出になるだろう。  教師として使命だろうか。 何だか、余計にやる気が出てきた……。 「それなら、なおさら参加するべきですよ!  大丈夫。あそこは、警備も厳しいし、きっと凄く楽しいですよ!  私のクラスは、メイド喫茶をやることになっていて、何なら私も着ちゃおうかなぁ……なんて」  アハハッと笑うと鬼龍院さんは、一瞬固まった。 そして頬を赤らめてしまった。あれ……? 「そうなんだ……それは楽しみだな」  照れながら笑顔を見せていたが明らかに恥ずかしそうに下を向いてしまった。 もしかして、想像しちゃったのかしら?  いや、それよりも自分で言っておきながら自分の首を絞めてしまったかもしれない。  メイドの服を着るとか……私は、何を言っているのよ!?
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