女は、度胸。

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 鬼龍院さん!?まさか立て替えてくれる気なの? 私も驚いたが、それ以上に戸田君も驚いていた。 「えっ?いいんですか?そんな大金……」 「あくまでも立て替えだ。  きちんとけじめとして返してもらうが利子は一切ない。  何年経ってもいいから少しずつ返せる範囲で返してくれればいい。  自分のやりたいバイトをしながら家族を守ってやれ。 それも社会勉強だ!」 そう言うとニコッと微笑んでくれた。  言葉は、若頭モードだが笑顔は、いつもの天使の鬼龍院さんだった。  鬼龍院さんは、戸田君の意見を尊重してくれた。 ホストのバイトではなく、自分のやりたいバイトで家族を守れるように……。  これなら気兼ねもしないし、戸田君も安全に働くことが出来るわ。 「あ、ありがとうございます!!」  戸田君は、泣きながら何度も頭を下げた。 私まで感動して涙が出そうだった。  良かったねぇ……戸田君。 そして無事にホストのバイトを辞めることが出来た。  もちろん学校にも秘密にしておくつもりだ。 これも全て鬼龍院さんのお陰だ。  なんてお礼を言ったらいいのだろうか。 「今日は、本当にありがとうございました。 生徒のために……すみません」 「いえ。そんな……上紗さんのためですから頭を上げて下さい。  驚きました……行ったらいらっしゃるから」 「私も驚きましたよ。まさか教え子のバイト先が鬼龍院さんの経営しているところだなんて。  他にもどんな経営をなさっているんですか?」  気になる質問をしてみると一瞬戸惑いを見せる鬼龍院さんだったが口を開いた。 「そうですね……ここからだと。 その……キャバクラとかを数軒……」  キャバクラですって!? またまた衝撃の真実を聞かされる。  いや。キャバクラのバックには、ヤクザなんてよく聞く話だが……まさか鬼龍院さんのところもだなんて。  はぁっ?だとしたら鬼龍院さんの周りには、さらに女性だらけ!!  ヤクザの組長の周りには、愛人や女性を囲む女関係の派手さもよく聞く話だわ。  そんな……鬼龍院さんに限って女関係なんてないと思っていたのに……。
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