Prelude -前奏曲-

2/33
前へ
/190ページ
次へ
目覚めは朝の6時。 鏡に映る自分を見ると、3時まで遊んでいた名残で瞼がひどく浮腫んでる。 「うわぁ……」 冷凍庫から小さなアイスノンを取り出し、ミネラルウォーターをコップに注ぐ。 プラセンタとヒアルロン酸と。 あとよくわからないカタカナ成分がはいった美容サプリメントを口に含み、水と一緒に胃へ流し込んだ。 歯磨きと洗顔を終え、部屋に戻った私は腰まで伸びた髪にスプレーをふりかける。 そして慣れた手つきでクルクルクルクル、派手な金髪に染めた髪を巻いていく。 髪のセットが終わると、次はメイク。 クマを隠すためにコンシーラーを重ね、ファンデーションとパウダーをはたき、仕上げにハイライト。 むくみがひどいからピンク系はパスして、パープルのアイシャドウをチョイス。 睫毛には丁寧に丁寧にマスカラの下地を塗りこんだから、もうすぐ天に届きそう。 チークをブラシに取り、頬をそっと撫で。 リップを塗って。 グロスを重ね。 「……ん?」 そろそろ出来上がる“いつもの私”に、少しの違和感。 「あ、眉がない」 忘れてた。これがないと私の顔面はどうにもならない。 化粧品が散らばるテーブルの上から、3日前に買ったばかりのアイブローを探し当て、慣れた手つきで『最新☆男受けメイク特集』に書かれていた通りに眉を書く。
/190ページ

最初のコメントを投稿しよう!

210人が本棚に入れています
本棚に追加