Prelude -前奏曲-

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――小柳葉音(こやなぎ はのん) それが私の名前。 友達の優貴(ゆき)は自分の名前が嫌で、遊ぶ時は“優姫”って漢字に変えたりしてる。 そういうのも面白くて良いかもしれないけど、私は自分の名前を凄く気に入っていた。 はのん。 まるで源氏名のようで、耳に派手な発音。 だけど優しそうなイメージがとにかく好き。 なにより同じ名前の人に出会ったことがないっていうのもポイントが高かった。 『それってホントの名前?』 男にそう聞かれる度に、私はうれしくなる。 私は今まであだ名で呼ばれたことがない。 誰もこの名にあだ名をつけられない。 私はいつだって『葉音』 そう呼ばれる。
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