米粒生徒会長

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米粒生徒会長

ぱちりと目が合った。 授業中なのに見入ってしまっていた。 隣の席に座っている生徒会長に。 長い黒髪、黒くて綺麗な瞳。 そして、白くて小さなご飯粒。 それはまるで、勇者が山の頂上で高々と剣を揚げているように。 鼻の上に付いている。 ‥‥‥‥。 どうして鼻の上に、ご飯粒が付いているんだ!? 一粒だけ! 「ちゃんと前を見て、先生の話聞かないとダメよ?」 生徒会長は全然気づいてないらしい。 優しい顔で言われても気になってしまう。 「ああ‥ごめん。でも」 「でも?」 言うべきか言わないべきか。 ”紳士対応その1” 「生徒会長、鼻の上にご飯粒付いてるぞ?」 直球ストレート。 生徒会長というプライドが傷ついてしまうかもしれない。 他の人に聞かれたら噂になってしまう。 ”紳士対応その2” 「生徒会長、動かないで」 「え?」 付いてるご飯粒をさりげなく取って食べてあげる。 ‥変態じゃねぇか! 恋人でもないのに、それはまずい。 「生徒会長、次の休憩時間はトイレ争奪戦になるから早めに行ったほうがいい」 「え?ええ‥」 不思議な顔をされたが、トイレの鏡で気づくだろう。 それまではどうか‥誰も気付かないでくれ。
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