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 今、俺の目の前には、『ゴゴサンジ』を挿した花瓶がある。  この赤い蕾を見たヒロインが、『梅仁丹』と表現してた――見れば見るほど、それは『梅仁丹』以外の何物でも無くなってしまうから不思議だ。  俺は、皆に意外(・・)と言われるタイプの読書家だ。(どうやら、見た目と読書が結びつかないらしい……)  幼少期から親の転勤が多くて友達を作り辛い環境だったことや、父親が新聞記者といった職業柄かベストセラー作品を買って来ては、それを家族で読み回していたせいかもしれない。  件の小説も然りだった。  映像化されているエンタメ小説で、当時随分と話題になっていた。  イケメン拾って、雑草食うとか――俺はすっかり惹き込まれ、頁を捲る手が止まらなかった。  女性好みの内容なんだろうと思うが、男である俺にも十分楽しめる内容だった。
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