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「そ、そうだ! 今日はこれから結婚式の打ち合わせだってあるでしょ!?」
1ヶ月後、私達は都内の式場で結婚式を挙げる予定だ。その後の新婚旅行は私たちが初めて結ばれた思い出の地、イタリア。
もうあまり時間もないため、最近は結婚式の段取りの打ち合わせや、旅行の準備にてんやわんやだった。
樹さんが大会社の御曹司であること、私が有名作家であることもあり、招待客も多く盛大な式になる予定だし。
「あ、そうか」
樹さんは思い出したかのように呟いた。これでどうにか魔の手から逃れられる。……と私がほっとしたのも束の間。
「でもまだ2時間もある。全然間に合うじゃん」
「はっ……!?」
「俺もう耐えられないから」
「なっ、ちょ、ちょっと待って! 無理! ちょ、だめええええ!」
私の絶叫も虚しく。結局私は樹さんに美味しくいただかれてしまい、足と腰をフラフラさせながら式場へと向かったのだった。
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