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「どうした……?」
「樹さん!」
「え?」
「私……私……。ふ、ふられちゃったああ! 」
私は彼の胸に顔を埋めて、涙ながらに絶叫したのだった。
*
誠(まこと)くんとは、小学校からの同級生で、付き合い始めたのは高校三年生のときーー私が文学賞を受賞し、作家デビューする少し前だ。
私の高校のサッカー部は全国大会常連の強豪校だったが、その部でも1年生からレギュラーの座につけるほどの実力があり、人気者だった誠くん。
サラサラのストレートヘアをなびかせ、笑えば白い歯を光らせーーアイドルのような容姿を携えた誠くんは、常に黄色い声援を浴びていた。
小さい頃から地味で本ばかり呼んでいる私とは真逆で、同級生と言ってもほとんど話したことは無かった。
そんな彼と親しくなったのは、高校3年生の夏休み前。国語のテストで赤点を取り、追試も合格できそうになかった誠くんとその友達数名が、当時成績トップだった私に、勉強を教えて欲しいと頼んできたことがきっかけだった。
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