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通りすがりの店員さんに私がそう頼むと、樹さんは相変わらず呆れたような顔をしてこう言った。
「誠くん……ねえ。意外に恋愛体質なんだな。小説にしか興味がないと思ってたわ。服装もメイクも地味だし」
私の服のテイストはシンプルイズベスト。無地や小さくロゴの入ったカットソーに、スキニーパンツやワイドパンツといった組み合わせが多い。
現在も、無地のTシャツに黒のワイドパンツいう、梅雨が明けたばかりの蒸し暑い七月中旬に、これでもかというほどマッチした快適性を重視した格好をしている。
濃いメイクも童顔の私には似合わないから、アイシャドウやチーク、リップも薄づきのもので、少し肌に乗せるくらいだ。髪も手入れのしやすいショートボブにしている。
視力が悪く、どうせいつも分厚いメガネを掛けてしまうから、メイクなんて必要最低限なのだ。
こんな感じで、樹さんの言う通り、私は小説を書く事以外には、情熱を注いでいるものはないと言っても過言ではない。あ、食べることは好きだけど。
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