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やっぱりキスが欲しいです
「はい、では表紙はこのデザインでお願いします。とても小説の内容に合っているので、本ができるのが楽しみです」
本の装丁を依頼したデザイナーさんに、笑顔でそう言う私。
今日は今度出す新刊の表紙の最終確認のため、私は青葉社の編集部に訪れていた。
最初の打ち合わせやラフスケッチの段階から、よいものになりそうな予感はしていたが、納品された表紙のイラストを見て、その出来の良さに私は感激してしまった。
ーーというわけで、打ち合わせは滞りなく終了したのだけれど。青葉社の編集部ってことは、キス魔のエロ樹さんもいるってことなんだよね……。
例のキスをされた日から既に数日経っていたけれど、あれから樹さんからの接触はなかった。
つまり、あの日に書き上げた中編は問題なかったということなのでそれはよかったのだけれど。
ーー私にあんなキスをしといて、何にも連絡がないとは。さすがチャラ男樹さん。あんなことどうってことない、日常茶飯事ってことか。
別に連絡が欲しいわけじゃないけどさ。いいように弄ばれたような気がしてなんかイライラする。
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