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自衛隊員の不審死
「待機命令を無視して救助に向かおうとした隊員を射殺」
NHKニュース速報の画面にショッキングなテロップが流れたのは、事故当日、八月十二日の夜であった。
キャスターは、こう原稿を読み上げた。
「ただいま長野県警から入った情報です。現地に救助に向かった自衛隊員数名が、何者かに銃撃され死傷者が数名出ている模様です。続報が入り次第お伝えします」
しばらく経ってから誤報だったと訂正したが、本当に誤報だったのだろうか?
前で述べたように、米軍横田基地は早々に墜落場所を特定しており、墜落の二時間後には米軍の救助ヘリが現場上空で救助体制をとっていた。
つまり、夜の九時過ぎには墜落地点は特定されており、米軍と自衛隊が連絡を取り合っていたことは、アントヌッチ元中尉の証言からも明らかだ。おそらくは自衛隊も、八月十二日のうちに、墜落地点を把握していたと思える。
墜落場所が判ったのなら、一刻も早く救助に向かいたいと思うのは人として当然で、行動に移そうとした隊員がいたとしても何ら不思議はない。
しかし、自衛隊上層部と日本政府が、このときすでに事故の隠蔽を決定していれば、救助に向かう隊員を阻止したであろう。
前述の川上慶子さんが見た『誰か』の懐中電灯の光が、現場に駆けつけた自衛隊員のものだったとする。しかしこの隊員が射殺され、一時的にでもニュース速報で流れていたとしたら、恐ろしいことだ。
もしくは、他の隊員を威嚇牽制するために、あえて射殺の速報を流したとも考えられる。
さらに、墜落からおよそ一年後の一九八六年には、三名の自衛隊員が自殺している。
自衛隊員Aは、二名の自衛隊員が山中で首を吊っている現場の写真と、123便の残骸の一部と思われる写真を、同僚のBから託された。
写真のひしゃげた金属片には、オレンジ色の塗料が付着している。
おそらく金属片は垂直尾翼の一部で、オレンジの塗料は、123便の垂直尾翼を破壊した無人標的機の塗料であろう。
つまりは、決定的な証拠である。
しかし、隊員Aに写真を預けた二ヶ月後に、同僚Bも自殺で亡くなっている。
本当に自殺だったのか、真相はわからない。
ただし、自衛隊と政府が、早々に墜落場所を特定していたことはほぼ間違いなく、彼らに人命よりも優先したい何かがあったと仮定すれば、数々の不可解な行動も説明がつく。
尤も、人命よりも大事な都合など理解は出来ないし、人の皮を被った悪魔の所業であることには、変わりがない。
自衛隊員の死からは、死を持って何を訴えたかったのかを想像するしかないが、事故被害者の遺体に、大きな疑念を抱いた検死官がいた。
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