赤いファントム

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赤いファントム

 事故関係者の著作や、ネットで公開されている情報を元に、私なりにまとめた概要は以上となる。  こうして、様々な情報を得た今なら、三十年前の小学生の私が、自宅の二階から見たあの光景を説明することが出来る。  垂直尾翼を破壊され、不時着場所を探しながら低空飛行するジャンボ機を、夕陽に染まる二機の赤いファントムが追跡していた。 おそらく、こうした光景だったのだろう。  事件を隠蔽するためのファントムに追尾されながら、人生最期の三十分を、五百二十四名の乗客や乗員たちは、どんな恐怖のなかで過ごしたのか。  燃え残った遺品からは、メモ用紙に走り書きした遺書が多数みつかっている。 (以下、原文ママ) 「つよししっかりたのんだぞ ママ こんなことになるとは残念だ さようなら 子供達の事をよろしくたのむ 今六時半だ 飛行機は まわりながら 急速に下降中だ 本当に今迄は 幸せな人生だったと感謝している」 「まち子 子供よろしく」 「機体が大きく左右にゆれている 18・30 急に下降中 水平ヒコーしている 日本航空18・00大阪行事故 死ぬかもしれない 村上良平 みんな元気でくらして下さい。さようなら 須美子 みき 恭子 賢太郎 18・45 機体は水平で安定して 酸素が少ない気分が悪い 機内よりがんばろうの声がする 機体がどうなったのかわからない 18・46 着陸が心配だ スチュワーデスは冷せいだ」 「恐い 恐い 恐い 助けて 気持ちが悪い 死にたくない まり子」  一部しか公開されていないCVP(コクピットボイスレコーダー)の音声から、高浜機長をはじめとするクルー達が、最後の一瞬まであきらめずに、命を繋ごうとしていたことが分かる。 1985年8月12日 18時55分 (墜落の1分26秒前) CAP(高浜機長) COP(副操縦士) FE(機関士) STW(客室乗務員) GPWS(対地接近警報装置) — YOKOTA APPROACH — If you here me CAP JAPAN AIR 123…… CAP えー、日本語で申し上げます。こちらのほうは、あー、アプローチいつでもレディになっております。なお横田と調整して横田ランディングも、あたま上げろ、アベイラブルとなっております FE はい了解しました CAP あたま上げろ COP 聞かせてくださいどおぞー CAP あたま上げろー 七秒間無音 CAP あたま上げろ — JAPAN AIR ONE — TWO THREE JAPAN — AIR ONE TWO THREE — YOKOTA APPROACH — CONTROL on guard. — If you hear me COP ずっとまえからささえてます come up STW ……からの交信は STW ちゃんとつながっております えーその他 CAP パワー CAP フラップとめな — JAPAN AIR 123、JAPAN AIR 123 不明 あーっ — If reading your radar position CAP パワー フラップ 不明 みんなでくっついちゃだめだ COP フラップアップフラップアップmiles フラップアップフラップアップcorrection CAP フラップアップ COP はい 60miles CAP パワーパワー フラップ FE あげてます CAP あたま上げろ あたま上げろ パワー 火災警報音、地上接近音、地上接近警報 GPWS WHOOPWHOOP PULL UP WHOOPWHOOP PULL UP WHOOPWHOOP PULL UP CAP …… WHOOPWHOOP PULL UP WHOOPWHOOP PULL UP 衝撃音 WHOOPWHOOP PULL UP 衝撃音 18時56分28秒 録音終了
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