墜落原因の真相

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墜落原因の真相

 スコーク7700とは、外部に向けて非常事態を告げるための信号だ。  機体から外部に送る信号には幾つか種類があり、7700とは、要撃による緊急事態を意味する遭難信号だ。 要撃とは、外部からの攻撃を意味する。  コクピットに異常を告げるアラームが鳴ると、機長たちは計器類を確認し、機体のどの箇所に異常が起きたのかを、まず特定する。機体の内部なのか外部か。  しかし高浜は、アラームが鳴り響いてからわずか十一秒後に、要撃により機体外部に損傷を(こうむ)ったと、信号を発した。  航空自衛隊のベテランパイロットであった高浜が、こうした判断を誤ったとは考え(にく)く、このとき日航123便は、高浜の判断どおり、外部からの攻撃を受けていたと思われる。  しかし、後日、運輸省の事故調査委員会は、事故の原因は圧力隔壁の破損、すなわち整備不良による機体内部の故障であると、公式に発表した。  外部攻撃による非常事態を発信した高浜機長と、事故の原因は機体内部の破損であったと発表した事故調査委員会。重要な事故原因が大きく食い違っている。  事故から三十年以上経ち、機長が還らぬ人となった今、真相を確かめることは難しい。  しかし後に、墜落前の座席から乗客が撮影した一枚の写真により、要撃説が信憑性を帯びてくる。 これは、事故当日の相模湾で、新型護衛艦「まつゆき」が試運転中であったことと関係する。
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