3時になれば彼女は

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3時になれば彼女は

「え、ほんとに行くんだ?」 寝そべって少年漫画誌を読みながら、俺は確認した。 「行くよ?」 彼女も俺のベッドでコミックを読みながら返事をした。 「明日の3時、いけふくろう前だって」 千華(ちか)と俺は家が近所で、親同士の付き合いもあり、腐れ縁の幼なじみだ。 高校からはばらばらになったけど、お互い暇な大学生になった今は、週に何度かはこうしてどちらかの部屋で過ごす。 ふたりとも特別な趣味もなく、サークルにも入らず、家でひたすら漫画を読んだりゲームをしたりしてだらだら過ごすのが好きだった。 千華は昔からひょろひょろ体型で、胸も尻もぺたんこで、髪は少年のようなショートで、服装だってパーカーにジーンズとかで、女を感じさせるとかそんな要素はまるでなかった。 ただ、同じ空間にいると誰よりも落ち着く相手。 その彼女が突然、出会い系アプリで知り合った相手と会うと言いだしたのだ。
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