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解けた……
僕は、待つことには慣れている。
何故なら、大好きな彼女に告白できずにいるからだ。
どのくらい待ったことか。確実に数十回もチャンスを逃しているのだ。
歯がゆい――。
もうこれ以上は待てない。
よし、今日こそは、告白するぞ!
僕の名前は、広瀬三津留。十六才。高校一年生――。
大好きな彼女の名前は、安藤美依菜。十六才。同じ『海明学国』に通う高校一年生だ。
髪は茶色がかったロング、瞳が少しブルーが入っていて透明感がある。
本人からクォーターだときいたことがある。でも顔立ちは、もろ日本人顔で、体型も少し小柄だ。
とにかく、可愛いのひとことだ。
で、今、昼休み――。
彼女が学校の花壇に現れるのを待っている。
そう、彼女は園芸部に所属しているのだ。
日課で、花の手入れにやってくるはずなのだ。
僕は花壇の傍の校舎の陰に隠れて、彼女がやってくる方を凝視していた。
思えば、今年の夏休みも、告白できなかった……。
せっかくの大チャンスだったのに、寸前で勇気を失ってしまった。
意気地なし、超絶メゲ男だ!
――しかし、今日の僕は違うぞ。
なんてたって、栄養ドリンクを二本飲んだからねっ。
心も身体も順風満帆、これで失敗なんて、もうあり得ない。
よーし、時間だ。そろそろやってくる。
来たーーーっ!
いいかいいか、心の準備は整ってるか?
身体の瞬発力はチャージ・OKか?
いくぞいくぞ、前進フル加速!!
いけーぇーーーーーーーーー!
瞬発力が……………………ないっ。
身体が、瞬間冷凍されたみたい…………。
またしても………………敗退………………か。
「広瀬くん。そこにいるんでしょ」
「わかるのよ。最近、超能力に目覚めたから」
――超能力???
「私に好きって、いいたいんでしょ」
えっ、マジ?
僕の瞬間冷凍は解けた――。
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