プロローグ

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 ここは都内某所にある二十四時間営業のファミレス。大手私鉄の駅から徒歩五分ほどの立地と、今日が土曜日のせいか、深夜だというのにおおいに賑わっていた。  大学の二年のわたしは週二のペースで、ここでバイトをしている。時間は金曜日と土曜日の二日間のみで、午後七時から午前〇時まで。  実家暮らしなので、そこまであくせく働く必要がなく、また勉強がおろそかになるからと親からもバイト時間の制限をかけられ、週二だけにしている。  バイト先にファミレスを選んだ決め手は時給がよかったからだ。ただし、客が減る深夜の時間帯なので掃除業務も含まれており、けっこう重労働。それでも仕事は嫌いじゃない。ちょっとした楽しみもあるので、バイトの日が待ち遠しいくらいなのだ。  午後十一時。 「ご注文はお決まりでしょうか?」  胸下まである長い髪を低めの位置できっちりおだんごにして、にっこり笑顔でオーダーをとる。愛想のよさは生まれつきみたいで、おおげさだけど客商売は天職かなとちょっとだけ思っている。  オーダーをとり終えると、一緒にホールで働いている四宮由紀乃(しのみやゆきの)が小声で話しかけてきた。 「そろそろじゃない?」 「うん、そろそろだね」  ちらっと腕時計に目をやる。午後十一時五分がいつもの時間だ。 「(ひかる)、来たよ」 「いらっしゃいませ」  由紀乃に言われ、わたしはその客をいつものように出迎えた。
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