私のおじいちゃん

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 その少女は祖父母に育てられた。幼いときに、両親を交通事故で亡くしてしまったのだ。親戚たちは、少女が負った心の傷や生活への影響を心配した。しかし、少女は自分の境遇を悲観することはなかった。祖父母が優しく強い人たちだったからだ。  特に警官として働く祖父は少女の自慢だった。ときには厳しく叱ることもあったが、いつでも少女の味方で、困ったときは必ず助けてくれた。いじめにあったときはいじめっ子を注意するだけでなく学校まで先生を叱りに来てくれたし、痴漢にあったときは同じ電車で張り込みをして犯人を捕まえてくれた。  いまは現役を退いていたものの、家でも相談に乗ってくれることは多かった。 「何か悩みがあるんじゃないか?」  それが祖父の口癖だった。少しおせっかいにすぎるところもあったけれど、少女はそこが祖父のいいところだとも思っていた。
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