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他の使役たちよりも、少しガタイの大きいボス風の男が、下級の使役に指図して、船倉へと向かわせる。
何人もの使役が船倉を調べ終わって戻る頃には、船長と操舵士も悪魔の使役たちに囲まれて、甲板に降りて来た。
船長が、今から裁きが始まるのだろうかと思った時、小柄な使役たちの仲ではガタイのいい男が、船長に向かって、ぺこりとおじぎをした。
「年越し早々、宝船がやってくるとは、何て素晴らしい吉兆の年でしょう。あなたがたを歓迎します。日本にようこそ」
海賊たちは、言葉が分からないながら、相手に敵意がないことを知った。
鳴り響いていた鐘は、弔いの鐘ではなく、大晦日に鳴らす除夜の鐘だということも、身振り手振りと、絵によって教えてもらい、船員たちはほっと胸を撫でおろした。
こうして海賊たちは、悪魔と誤解していた小さい善良な人々にもてなされ、居心地の良いその国に住み着くことになった。
住居を与えてもらったお礼に、その時代に国を治めていた鎌倉幕府に宝のおすそ分けをして、幕府の信頼を得た海賊たちは、日明貿易の遣明船を警護する役割を買って出た。元々血気盛んで海で生きていた海賊たちは、こうして自分たちの力を発揮すると共に、この国のために役立とうとしたという。
嘘か誠かは定かでないが、新年が明けるころ、宝を積んでやってきた頼りになる海賊たちは、年月が経つにつれ、福をもたらす七福神へと置き換えられていったそうだ。
そして、正月には、その福に肖るために、宝船に乗った七福神を飾りつけ、縁起物として愛でるようになったという。
めでたし、めでたし。
了
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