第一話 繰り返す思い出 最終節

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 僕はそこから車で20分ほどの自分の家につくと、今さっき食事をしたばかりなので、 (今晩の夕食はいらないかな?)  と思いつつ、まずは風呂にでも入ろうと風呂を沸かし、待っている間に、デジタル一眼レフの画像データをUSBケーブルで起動したパソコンに取り込んだ。  そして、例の妖精の画像をパソコンの画面で拡大して見ようとしたが、 「あれ?転送ミスった?」  例の薄紫の花の写真の下の葉は、葉っぱだけで他に何も写っていなかった。  その薄紫の花の写真は全部で4枚で、最初の1枚が試し撮りで、2枚目が妖精が写っていたもの、3枚目が妖精の髪と手だけが写っていたもので、4枚目は普通に花だけのはずであった。 ...それが、4枚ともに花だけで、妖精の姿はどこにも写っていなかった!   それは、元のデジタル一眼レフカメラの中の画像もそうであった。 「そんな...!まさか幻を見た?見間違い?じゃあ彼女とのことも?」  一瞬、頭が真っ白になった。 「.....」  一気に意気消沈した僕は、彼女に電話かLINEをするべきか迷ったが、結局やめてしまった。  そして、風呂が沸いたのでとりあえず入ることにした。  湯舟につかりながら、僕は冷静にいろいろと考えた。 (でも、確かに高原で見た時も、キミダ喫茶店で彼女と見た時も、確かに写っていた...妖精がそれを消した?そんなことができるのか?デジタルデータなのに...どうやって自分の姿だけ消したんだろう?)  僕はいろいろと姿だけ消す方法を考えたが、良い方法が見つからず、おかげでちょっと長風呂してしまい、少しのぼせながら風呂を出た。  Tシャツと短パンだけで頭をタオルでゴシゴシと拭きながら居間に戻ってみると、スマフォのLINEに1件メッセージが入っていた。  なんだろうと思い見てみると、そのメッセージで僕の心のわだかまりは消え、おだやかな気持ちになっていった。  そこにはこんなメッセージがあったのだ。 「プロポーズお受けします。正式にもしてね!」 ......そして......
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