第一話 繰り返す思い出 最終節

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 時は流れ5年経ち、僕たち家族三人は、例の『はればれ高原』に来ていた。  僕は年季の入った愛用のデジタル一眼レフカメラをまだ使っており、今日は3歳になった娘のポートレートを主に撮っていた。  妻の百合菜は娘の真奈菜(まなな)の後ろで娘が転ばないように見守っており、僕は少し離れたところからお花畑と一緒に立ち姿の真奈菜を撮っていた。  そのとき、真奈菜が急にしゃがみ込み、何かを見つめているようだった。 「何を見てるの?真奈菜」  妻の百合菜が娘の後ろから娘が見ているものを覗きこみ、ハッとしたような顔になり、僕に手招きをした。  なんだろう?と思いつつ、僕は妻の横に来て同じようにしゃがみ込み、二人が見ている方向を見た。  そこには、5年前に見たのと同じ妖精の少女が、やはり薄紫の花びらの下の葉に座っていたんだ!  薄緑色のワンピースで、髪の毛は濃い黄緑色で、足は素足で靴を履いていなかった。  妖精の女の子は、僕たち三人に向かってニッコリと笑った後、バイバイと右手を振ってサッと姿を消してしまった。 「いまの、ムシさん?」  3歳の娘の真奈菜が、僕たちの方を振り向いて言った。  僕と百合菜は顔を見合わせて笑い、そして、僕は娘に言った。 「いいや。いまのは花の妖精さんだよ」                                                                おわり
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