第一話 繰り返す思い出 第2節

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 すると、意外にも話が合い、趣味に関しても、登山をすること(僕はハイキング程度だけど)、美術館で絵や彫刻を見ること、弦楽のミニコンサートを聴くこと、など...結構共通点が多かった。  それから休みの日の度に会って、いろいろなところに出かけたな...そう言えば最近は彼女の仕事が忙しいこともあって、休日に会う機会がめっきり減ってきている。  そういえば今日の日曜も仕事が入りそうだと先々週に彼女は言っていたけれど、今現在はどうなんだろう?  仕事中だったら悪いな。でも、もしかしたら休みを取っているかもしれない。  僕はその場で彼女に電話を掛けた。  LINEやメールでも良かったかもしれないけれど、今の僕は直接彼女と話しがしたかった。  8回程の呼び出し音の後に彼女がでた。 「光一だけど、百合菜は今、仕事中かい?」 「ううん、違うよ。今日は休みをもらえたの。今、家で洗濯物と格闘中」  百合菜は少し疲れ気味の声だった。 「そうなんだ。実は今『はればれ高原』にまた来て写真を撮っていたんだけれど、君にどうしても見せたい写真が撮れてね。これから会いに行ってもいいかな?」 「...いいわね『はればれ高原』、私も行きたかったな」  百合菜は少し怒ったような声で言った。 「...ごめん。君を誘えば良かったんだけど、今日は仕事かと思っていたものだから...」 「うん。別にいいんだけどさ...ねぇ、私からも光一に相談したいことがあるの」 「そうなんだ。わかった。じゃあ、こちらは今からなら車で2時間ほどで君の家の近くまで行けるから、4時に君の家に一番近い『キミダ』喫茶店で待ち合わせるのでどうかな?」 「あ、うん。わかった。こちらも洗濯物やっつけてから行く。ブランチもまだだし、じゃあ4時ね」  百合菜はそう言うと電話を切った。  僕は急ぎ野原を横切って1回500円の駐車場に向かって行った。
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