第一話 繰り返す思い出 第3節

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 スペシャルサンドを見て百合菜が「食べてもいい?」と聞いてきたので、「ああ、僕もたべるよ」と返し、彼女はスペシャルサンドセットのミニサラダを一口食べた後、チキンカツが挟まったサンドイッチをおもむろに頬張った。  僕も負けじとオニオンバーガーセットのポテトを1本つまんで食べ、同じように厚めのオニオンフライとハンバーグが挟まったバーガーに(かじ)り付いた。  二人ともお昼を食べていなかった(彼女にいたっては朝も抜き)ので、彼女はサンドイッチを丸ごと1つ、僕は大きめのバーガーを半分ほど食べ終わるまではお互い無言であった。  お互いに食べる作業がちょっと一段落し、アイスコーヒーに彼女はガムシロップとミルクを両方、僕はミルクだけ入れて一口二口飲んだ後に、まず彼女が言った。 「受けたほうがいいってこと?」 「ああ。詳しくは知らないけど、SEになれば給与もあがるんじゃないかな?君は仕事に一生懸命取り組んでいるし」  僕は少ない情報の中、そう答えたのであるが、 「あなたも知っているように、うちの会社はとても忙しいのよ。SEになるってことは、残業や休日出勤がもっと増えるってことよ」  百合菜はそう言いながら僕の顔をじっと見つめてきた。 (あっ...そういうことか)  僕はハッとして、彼女を見つめ返した。 「そうか...ますます会う機会が減るかもしれないということか」  僕は返答に迷ったが、そう答えた。  百合菜はその後、関を切ったように話し出した。 「私は今の仕事にやりがいを感じているし、SEの仕事もやってみたいと思っているの。実際、今も半分はSEっぽい仕事をしているのだけどね。で、もし今回の試験を断れば、またしばらくの間は今のプログラマーのままになるけど、私としては、それはあまりやっていきたくないの」 そこで彼女は一旦言葉を切った。 「でも、何か別の道があれば、プログラマーのままでもいいかなって思ってる」 そして彼女は僕に決断を迫る言葉を言った。 「ねぇ、光一。あなたは私の事どうしたいと思ってるの?」 (うっ)  僕は一瞬返答に迷ったが、今日はなぜか妖精の写真を彼女に見せに飛んできたこともあり、思い切って発言する勢いがついていたようだった。
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